祖父の時計は四時十七分で三十年止まったまま、私は直すつもりはない 祖父の時計は、私が受け継いで以来ずっと四時十七分で止まっている。一度も直そうとしたことがない。 みんな私がただ手をつけていないだけだと思っている。でも本当は、直したら何を失うかが怖いのだ。 ――― 祖父は 三十一年間、 毎日それを 身につけていた。 二つの仕事、 一つの戦争、 四人の孫を 通して。 私に泳ぎを 教えてくれた日も、 祖父の手首に それはあった。 その時計をつけた手で、 私の背中を 水面の上で 支えてくれた。 だから今でも、 プールで 目を閉じると、 そのバンドの 冷たい金属の感触が、 背中に よみがえる。 ――― それは 祖父が亡くなった週に 止まった。 みんなは ただの 偶然だと言った。 電池が たまたま その時に切れただけで、 その週に起きた 別のことと たまたま 重なっただけだと。 それが本当だと 分かっている。 それでも どんな時計でも 四時十七分を見るたびに、 そのことを 考えてしまう。 ――― 私が本当に受け継いだもの 時計ではない。 本当のところは。 私が受け継いだのは、 止まった瞬間。 文字盤の上の 特定の数字。 そこにいなかった 誰にとっても 何の意味もないもの。 でも私にとっては、 ほとんど すべてを意味する もの。 もし直したら、 それはただの 時計に戻ってしまう。 正確で、 役に立つ。 そして私は、 それが本当に 与えてくれる唯一のものを、 どの店でも 買えるものと 引き換えに してしまうことになる。 ――― なぜ壊れたままにしておくべき物もあるのか 動いている時計は 時間を教えてくれる。 正しい瞬間に 止まった時計は、 誰かが かつてどこにいたか 教えてくれる。 そして 確認するたびに、 その瞬間を 訪れさせてくれる。 私はそれを 身につけない。 引き出しの中に しまっている。 年に一度か二度、 それを取り出して、 握りしめる。 数秒間、 私にとって それはもう 1994年ではなく、 ただの 一つの手になる。 私の手を 包んで、 水の中で 支えてくれる手に。 ――― ホメリアから 壊れている方が、動いているより大切な物もある。その価値は、それが何をするかではなく、それが止まった正確な瞬間にある。 ――― 記憶のプロンプト あなたが失った誰かのものだった物を一つ見つけよう。直さず、掃除せず、変えないで。ただ一分間手に持って、心によみがえってくることを書き留めよう。

2026/8/11
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